アパレル業界のライブコマース事例を紹介。メリットや成功のポイントもあわせて解説!

  • 公開日:2022/07/28

ライブ配信とECを組み合わせた「ライブコマース」はアパレル業界と相性の良い販売方法です。しかしまだ日本には事例も少なく、いざ導入しようと思ってもどのように始めればいいのかわからず悩んでいる方もいるでしょう。そこで本記事では、下記の内容について解説します。

●アパレル業界でライブコマースを活用するメリット
●日本のアパレル業界でのライブコマース事例
●アパレル業界でライブコマースを成功させる方法

今後のアパレル業界で売上を伸ばしていくにはライブコマースが欠かせないと言っても過言ではありません。本記事の内容を、ライブコマースを導入する際の参考にしてください。

アパレル業界はライブコマースと相性が良い

アパレル業界とライブコマースの相性が良いと言われるのは、次のような理由からです。

●お客様が実店舗に足を運びづらいコロナ禍でも、ライブ配信に参加してもらうことができる
●店舗での接客のようにお客様とコミュニケーションを取りやすい

アパレル販売はお客様とスタッフとのコミュニケーションが基本です。しかし従来のECサイトでの連絡手段といえば、せいぜいお問い合わせメール程度でした。一方、ライブコマースであれば、お客様の質問やリクエストをコメントとしてリアルタイムで確認でき、こちらからリアクションできます
またライブコマースでは実店舗のような購買体験が可能で、従来のECサイトよりも満足度が高くなりやすい点も特徴の1つです。したがってお客様が実店舗に足を運びづらいコロナ禍にあっても、ライブコマースを活用することで売上を立てやすくなると言えます。

消費者庁の『ライブコマースの動向整理』では、ライブコマースを利用したことがあるユーザーの購入品割合は、衣料品が63.6%でトップでした。数値データからもアパレル業界とライブコマースとの相性の良さがうかがえます。

【参考】消費者庁「ライブコマースの動向整理」

アパレル業界でライブコマースを活用するメリット

アパレル業界でのライブコマースの活用には次のようなメリットがあります。

●質感、使用感、着こなしを詳しく説明できる
●お客様の疑問をリアルタイムで解消して購入に導ける
●ブランド、会社のファンを増やせる

下記で1つずつ解説します。

関連記事:ライブコマースとは?注目される理由と活用するメリットを解説

質感・使用感・着こなしを詳しく説明できる

ライブコマースなら、ECサイトの表記だけでわからない質感・使用感・着こなしまで詳しく伝えられます

ECサイトでの商品説明は、スペースの問題もあってどうしても数字といった客観的な情報がメインです。しかしサイズや素材などの数値で表せる情報だけでは、すべてのお客様に納得したうえで買っていただくことはできません。
ライブコマースでは、服の一部を軽く擦り合わせて音を聞かせたり、出演者が感想を述べたり、複数のコーデを紹介したりなど、主観的な情報もわかりやすく伝えられます。「通販で服を買うのはちょっと…」と思っていた方もライブコマースでは顧客として取り込めるかもしれません。

お客様の疑問をリアルタイムで解消して購入に導ける

ライブコマースではお客様の疑問をリアルタイムで解消することで購入につなげられます

アパレル業界に限らず、少しでも疑問が残っているとお客様は商品を買いません。そして従来のECサイトで疑問を解消するには、口コミの確認といったようにお客様の積極的な行動が必要でした。
一方ライブコマースでは、お客様が気になることがあったら匿名でコメントを打つだけでOKです。一人ひとりの疑問に合わせて答えられるため満足度が高く、購入率(CVR)も高くなります。実際、Live kitを導入している企業の平均CVRは10%以上と、平均CVR2〜4%と言われるアパレルECでは驚くほど高い数字です。

※Live kit内購入型配信において、商品売上が10万円を超えた配信の平均購入率

ブランド・会社のファンを増やせる

効果的にライブコマースを行えば、会社・アパレルブランドのファンを増やせます。ライブコマースではただ商品を紹介するだけではなく、お客様のためになるような企画が必要です。自社の売上にこだわらずお客様にとって有益な情報を届けたりこまめに質問に答えて疑問を解消したりといったコミュニケーションを続けることで、ファンを増やせます。

継続的に自社製品を購入してくれるファンがつけばCVRアップにつながりますし、熱量が高まれば顧客単価も上がるでしょう。

アパレル業界でのライブコマース配信方法

ライブコマースには大きく次の2つの配信方法があります。

●1対多数での配信
●1対1での配信

それぞれにメリット・デメリットがあるため、一概にどちらが良いとは言えません。アパレル業界のライブコマースで一般的なのは1対多数ですが、どちらを実施するかは自社の状況なども鑑みて決めてください。

1対多数での配信

1人(もしくは少数)の出演者に対し多数の視聴者がいる形式で、一般にアパレル業界でライブコマースと言った場合にイメージされる配信方法です。1対多数でのライブコマース配信には次のようなメリット・デメリットがあります。

メリット・効率的に売上を伸ばせる
・インフルエンサーを起用できる
デメリット・企画力や1対多数でのトーク力が必要

1対多数のライブコマース配信では、実店舗と比較してスタッフ1人あたりが対応できるお客様の人数が増えるため、ECならではの効率的な売上拡大が可能です。またインフルエンサーの起用も検討でき、認知拡大やイベント時の売上加速も期待できます。

反対に、配信に特化した企画力やトーク力が必要となる点は企業にとっての課題でしょう。企画に興味を引かれなければお客様は配信を視聴せず、商品も購入しません。また1対多数の配信では通常の接客とは異なるトークスキルが求められます。

1対1での配信

1人の出演者に対し1人の視聴者がいる形式で、ライブコマースでありながら実店舗に似た接客ができる配信方法です。1対1のライブコマース配信のメリット・デメリットとしては下記のようなものが挙げられます。

メリット・丁寧な接客ができる
・満足度が高く、顧客単価が上がりやすい
デメリット・ECの効率性は実現できない

1対1のライブコマース配信は、実店舗と同じ接客をテレビ電話で行っているようなイメージです。一人ひとりの疑問や希望を聞きながら丁寧な接客が可能なため満足度が高くなり、顧客単価も上がります。エース販売員がいれば、起用することで売上アップを見込めるでしょう。

一方、個別で接客するスタイルは同時にデメリットでもあります。ECを活用すると効率的に売上拡大できるのは、インターネットが1対多数の形式であるためです。したがって1対1のライブコマース配信ではECならではの売上の効率性は実現できません

日本のアパレル業界でのライブコマース事例

実際に日本のアパレル業界でライブコマースを導入した事例として、女性ファッション誌『Oggi』とアパレルブランド『グリーンレーベルリラクシング』のコラボ配信を3つピックアップして紹介します。

Oggi×グリーンレーベルリラクシングのライブコマース事例1

テーマ
旬のボトムとも相性抜群♡7daysブーツのここがすごい!
内容「[7days] スクエアショートブーツ」
というアイテムを中心としたコーディネートを紹介

アイテム単体ではなくコーディネートとして紹介することで、ブランドの他のアイテムもあわせてアピールできます。またライブ配信限定クーポンを発行して売上アップを狙う施策を実施しています。

Oggi×グリーンレーベルリラクシングのライブコマース事例2

テーマきれいめ派の「先物買い」はサンダル&メッシュバッグで!
内容2022年2月のライブ配信で、
季節先取りアイテムを絡めたコーディネートを紹介

流行をワンシーズン早く知れる企画や、視聴者からのコメントやその場の流れに合わせた即興コーディネートがマッチし、人気のライブコマース配信となりました。

Oggi×グリーンレーベルリラクシングのライブコマース事例3

テーマどんな服にも合う!どんな場所にもなじむ!
きれいめ派の「スタメンサンダル」
内容2022年4月に行われたライブ配信で、
寒さがやわらぎサンダルを履きたくなった時期に合わせた紹介

テーマ通り、場所やシーンと合わせてコーディネートを紹介することで視聴者の満足度をアップさせています。また同じスタッフが継続してライブコマースに出演することで、スタッフのファンも獲得できているでしょう。

アパレル業界でライブコマースを成功させる方法

アパレル業界でライブコマースを成功させるためには、次の5つのポイントを意識しましょう。

1.ターゲットユーザーに合わせて出演者や企画を決定する
2.商品について質感や着こなしまで詳細に解説する
3.視聴者の質問にできるだけ多く答える
4.データを分析して改善を続ける
5.アーカイブを残して後からでも視聴・購入できるようにする

それぞれ解説します。

1.ターゲットユーザーに合わせて出演者や企画を決定する

配信のターゲットとなるユーザーに合わせて出演者や企画を決定しましょう。

出演者の起用で考慮したいのは視聴者や商品との親和性です。ただ有名な人を起用すればいいわけではありません。出演者の起用では次のポイントに注意してください。

インフルエンサーを起用する際の注意点・自社商品のターゲットユーザーとファン層が合致しているか
・自社商品について詳しく知っているか(知らなければ、事前に資料を読み込んでもらえるか)
自社スタッフを起用する際の注意点・人前に出て話せるか
・ライブコマース以外の業務に支障をきたさないか

また、視聴者のためになりかつ購入につながる企画も重要です。具体例としては季節の着回しコーデや、骨格スタイル別のおすすめアイテムといった内容でしょう。
無理に自社製品だけを推さずに、他社ブランドのアイテムも組み合わせて最適なコーディネートを紹介したことで満足度が上がった事例もあります。視聴者のためになる、という部分を欠かさないようにしてください。

【参考】アパレル業界のライブコマース事例。ライブコマースの種類や成功させるポイント

2.商品について質感や着こなしまで詳細に解説する

実際の配信では商品について詳細に説明しましょう。

ECサイトの表記だけではわからない質感や着こなしまで伝えられることがライブコマースの利点です。その利点を活かさなければライブコマースである意義が薄れてしまいます。次のようなポイントに意識して商品についてわかりやすく解説しましょう。

・着用しているモデルやスタッフの身長や骨格スタイルを伝える
・「シャカシャカした生地」「さらっとした着心地」などオノマトペを使いながら感覚的な部分も表現する

また商品を紹介する際に「〇〇な印象」でやめずに「〇〇な印象だから△△なアイテムと合わせたい」まで伝えると、お客様が自分の着用シーンをイメージでき購入につながりやすくなります。

3.視聴者の質問にできるだけ多く答える

ライブ配信中にコメントされた視聴者の質問にはできるだけ多く答えましょう。

どれくらい質問に答えて疑問を解消できているかが一人ひとりの満足度に直結します。そして満足度が高いほど、ライブ配信の売上も大きくなりやすいのです。重要ではなさそうに思えたり既に回答済みの内容であったりしても、面倒くさがらずに質問に答えなくてはいけません。
またどんな質問でも答えられるように、自社のブランドや商品に詳しい人が出演していることが必要です。

4.データを分析して改善を続ける

ライブ配信して終わりにせず、データを分析して改善を続けましょう。

「配信→分析→改善→配信」というサイクルを繰り返すことでライブコマースの売上を伸ばせます。分析対象となるデータはさまざまですが、具体例としては下記のようなデータを集めると効率的です。

・購入を促しやすいフレーズ
・視聴数が増えやすい企画
・視聴率が高い曜日や時間帯

関連記事:ライブコマースを成功に導く「分析」方法を解説。改善して売上アップ!

5.アーカイブを残し後からでも視聴・購入できるようにする

ライブ配信のアーカイブを残して、終了後でも視聴・購入できるようにしましょう。

当然ですがお客様にも一人ひとりの予定があり、リアルタイムで配信を視聴できる人ばかりではありません。ブランドにファンが多かったり企画のニーズが高かったりすれば、アーカイブでもいいからライブ配信を見たいと思ってくれる人は必ずいます。
長期的にファンを育てる意味でも、リアルタイム限定のように特別感を演出するのではなく、アーカイブでも視聴可能なユーザーフレンドリーな配信にしましょう。

まとめ

本記事ではアパレル業界のライブコマース事情と日本での事例について解説しました。
2000年前後から企業のオンライン販売(ECサイト)が急拡大したように、ライブコマースも今後ますますメジャーな販売手法になっていくと考えられます。日本での事例がまだ多くない今のうちにライブコマースを導入し、アパレル業界での先行者優位を築いてください。そして、ライブコマースを活用してアパレル売上を伸ばしましょう。